第七章

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見つめ合うこと二秒程。 恥ずかしさと緊張で動揺した私は、 「ちょちょっと、仁さん…」 視線を逸らしながら身体を離そうと、仁さんの身体を押す。 びくともしない。 「ちっ近いです。ちょちょっと離れてください」 そう言いながら仁さんの身体を再び押す。 離れようとすればするほど仁さんの腕に力が入り、身体と身体がさらに密着する。 なっなに? なんで離れないの? そう思っていると、 「俺と君は恋人同士だろ。ちょっとした身体の触れ合いにも慣れてもらわないと…」 私の耳元で囁くような声で、そんなことを言ってきた。 仁さんの熱い息が耳にかかる。 熱い息と一緒に仁さんの唇が私の耳に触れる。 触れたその瞬間、全身の血が身体中を駆け巡り、私の身体は熱を持つ。 外は寒くて吐く息も白い。 なのに、私の身体は熱を持ちホッカホカ。 間違いなく顔も耳も真っ赤になっているに違いない。
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