第七章

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ケチャップのついたポテトを仁さんにあげながら、私は思ってしまう。 普通のカップルはこういうことを普通にしてるんだろうなって。 初詣に行ったり、ドライブしたり、そしてこんな感じでポテトを食べさせてあげたり。 私と創さんの関係って、ホントのところなんだったんだろうか? 本当に付き合っていたのだろうか? 付き合いをOKしてもらっただけで、恋人といえるようなことなんて何もしていなかった気がする。 一回キスはしたけど、魔が差してたまたましてしまっただけのことかもしれない。 イチャイチャすることもなく、どこかにデートに行くわけでもなく、呼ばれてもいないのに創さんの部屋に押しかけていただけ。 一緒にテレビを見て、時間がきたら帰って行くだけの関係。 今から思えば、彼氏彼女の関係だと私だけが思い込んでいただけなのかもしれない。 ホント… 私って馬鹿だったんだな… 過去を振り返り落ち込んでいると、 「どうした?車酔いでもしたか?」 私のちょっとした落ち込みに気付いた仁さんがそう言葉をかけてきた。 不意に声をかけられた私は、 「えっ?あっ…だっ大丈夫です」 ちょっと焦りながら、言葉を返す。
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