第七章

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◇◇◇◇◇◇ 海に着き、車が停まった。 久しぶりの海に、自然とテンションが上がる。 シートベルトを外し、ドアを開け外に出てみる。 うわっ… 寒っ… 予想以上に風が強くて冷たい。 「さすがに寒いな」 仁さんの吐く息も真っ白。 「車に戻ろう」 仁さんは、すぐに車へ戻ろうとする。 でも私は、 「仁さんすみません。少しだけ砂浜を歩いて来てもいいですか?」 せっかく海に来たのだから、海をちょっとだけでもいいから満喫したい。 そう思う私は砂浜へと向かって歩きだす。 歩き出したのはいいけれど、 うっ… ホント寒い… 海からの風は強くて冷たくて、髪は乱れるし耳や顔とか出てる部分がどんどん冷たくなっていくのがわかる。 砂浜を歩きたいと思ったけど、あまりの寒さに歩くのをあきらめて引き返そうかと思ったその時、温もりが私を包み込んだ。 「二人で歩いた方がまだ寒くないだろ」 着ているコートの中へと私を入れ、包み込むような感じで私の身体を抱き寄せる。 一瞬何が起こったのか解らなかった。 でもすぐに仁さんに抱き寄せられているのだと理解する。
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