第一章

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付き合っていることを姉には内緒。 そのことが引っ掛かりはした。 だけど… (姉のことを好きなままでいいから、私と付き合って欲しい) と言ってお願いしたのは私だから、そういう条件で付き合うのも仕方がないことなのかと、 そう思い納得もしたけれど、私は心のどこかで期待していたのかもしれない。 彼女になって創さんとの距離を縮めていければ、私のことも気にかけてくれて、そして好きになってくれるんじゃないかって… でも… そんなことはなかった。 姉が彼氏と別れた途端、私は創さんにフラれた。 「ッ…」 泣くのを我慢しているせいか? 目の奥の方にツンとした痛みが走る。 涙を流せば痛みも和らぐのかもしれないけれど、イブの夜を満喫しているカップルだらけのこの場所では、惨めになるから涙は流せない。 泣くのをグッと我慢して、カクテルを口の中へと流し込む。 ゴクリと飲んだ後、 「ふぅ…」 一息ついた私の隣から、 トゥルル…トゥルル… 携帯の着信音が聞こえた。
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