第一章

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だけど… 無言のまま向けられた冷たい視線。 声をかけてしまったことを、私は一瞬で後悔してしまう。 「あっ、いやあのっ…私も彼氏にフラれてドタキャンされたものだからそれで…って私ったらなにを言ってるのかな…」 (ハハッ)って感じで苦笑いをした後、 「…今のはなかったことにして下さい。…話しかけたりしてすみませんでした」 そう言いながら、視線を彼から前へと戻した私は(ふぅ)って感じで溜息を吐きカクテルを手に取る。 私ったらなにしてるんだろう… 盗み聞きしたのを白状してるようなもんじゃない… そりゃ、ムッとして睨みたくもなるよね… 余計な気遣いをしてしまったと反省しながら、グラスに入ったカクテルをゴクゴクと飲み干す。 そして(ふぅ)と息を吐いた後、 「すみません。これと同じものをもう一杯下さい」 ”ロングアイランド・アイスティー”四杯目を注文する。
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