第七章

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身体を密着させながら歩くこと三分。 もうダメ… 心臓が持たないかも… ドキドキもピークで、このドキドキが仁さんにも伝わってしまうんじゃないかって思うと、恥ずかしさでさらにドキドキが加速してしまう。 そんな私とは対照的に、仁さんは落ち着いていてこの状況に全く動じていない。 女性の扱いに慣れている。 私が思っている以上に仁さんは、女性経験がかなり豊富なのかもしれない。 それに比べて私ときたら… (ちょっとした身体の触れ合いにも慣れてもらわないと)と仁さんに言われてるけど、 本当に付き合っているわけでもないのに、こんなに密着していいの? 私の年齢だとみんな普通にできることなの? ドキドキとかしないの? 平気なの? 今のこの状況に慣れなさすぎて、そんなことを思ってしまう。 そして私は、 みんなが普通にできることがどうして私は普通にできないんだろうか? こんなんだから、女として見てもらえないんだよ… 慣れなきゃ… いつまでも子供じゃないんだから… という考えに至っていく。 そんなことを思っていたら、 「少しは海を満喫できたか?」 仁さんが話しかけてきた。 不意に話しかけられて、 「はっはい。とっとても」 声がうわずってしまう。 「そうか、ならよかった。体も冷えてきたし、そろそろ帰るか」 帰ろうと仁さんが言ってきた。 触れ合うことに慣れると決めたばかりだったけど、実際のところ散歩終了にホッとしている私がいる。
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