第1話 電脳の牢獄

1/14
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ

第1話 電脳の牢獄

 20XX年、著しく技術が発達した時代。電脳世界はもう一つの生活の場として人間にとっては無くてはならないものとなっていた。  現在稼働中の『Delusion;Days』……通称DDは国内最大規模の電脳世界サービスであり、ほとんどの人間がこのサービスを利用しているという状況だった。  ヘッドギア型の本体を頭に取り付けるだけで人間は、もう一つの世界へと旅立てるようになった。  中性ヨーロッパをモチーフとした世界観に豊富なゲームシステム。  それはゲームの次元を超え、もはや人間にとっての生活の一部として取り入れられていた。その電脳世界では主婦が戦士になることも、老人が子供になることも叶う。  誰もが魔法使いや戦士となり、モンスターを倒して報酬を得るような刺激的な生活を味わうことができる。  誰しもが理想の自分を体現することが可能なのだ。その魅力に全ての人間が没頭し、夢中になった。  中には現実世界を忘れ、電脳世界を生活の中心として生きる者もいた。  それが私、藤ヶ谷 飛鳥だ。  私は現実世界では半身不随の少女だった。けれど、この世界では野原を自由に駆け巡る戦士。 私は現実を忘れ、この電脳世界に没頭した。      
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!