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中学生だったあの頃の俺。
あの日から長いこと立ち直れず
結局彼女とは卒業までひと言も
話すことができなかった。
もちろん再会することもない。
彼女から最後に受け取った袋の中には
キラキラ散りばめられた
手作りのチョコレート
そして深い紺色の手編みのマフラー
そして「さようなら」と書かれた紙切れが1枚
入っていた。
彼女は何を想い、考えて
そのチョコレートを作ってくれたのだろうか。
彼女は何に期待し、祈りながら
マフラーを編んでくれたのだろうか。
人よりも早く結婚し
子供にも恵まれ
不自由なく幸せだ。
しかし毎年このバレンタインの日には
必ず蘇る苦く淡い思い出。
25年経った今も。
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