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「……智紀さん、好き、です」
過去彼女はいたけど上辺だけの言葉じゃないそれを声にするのは初めての経験だ。
鈴には一生言うことはない言葉だった。
鈴以外を好きになるなんてあるのかって漠然と思ってたのに。
だから、言ったはいいけどあり得ないくらいに顔が熱くなるのがわかった。
バカなのか、バカだったのか、俺は。
と、きっとゆでダコのように赤くなってるだろう顔を隠すように俺は智紀さんに背を向けてまるくなる。
同時にぎゅーっと抱きしめられる。
「俺も、大好き」
「……知ってます」
髪に触れたとき瞼が少しだけ痙攣して――きっと目覚めたんだろうってことはわかっていた。
首筋に唇が押しあてられて、むずがゆさに口元を緩めながら目を閉じた。
そしてまた俺たちはゆっくりとまどろみに落ちていった。
――one night END――
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