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「そうそう。俺と同い年でさ。実は高校時代一度会ったことはあったんだけど、それにしてもびっくりしたなぁ。一流企業のエリートさんでイケメンで優しくって、ライバルとしては最強だと思わない?」
「それは手ごわいですね。でも智紀さんだって会社経営してるしカッコイイし、負けなさそうだけど」
「だよねー?」
この人って、やっぱり変わっていうか面白い人だな。
俺かっこいいのに、と拗ねたようにため息をついて焼酎のお湯割りを口に運んでいる。
「敗因はなんだったんですか」
失恋話を笑って聞くのもどうか。
智紀さんは落ち込んでいそうな素振りをして喋ってはいる。
だけど、どことなく笑いを誘うような口ぶりで俺はつい口元を緩めていた。
「そうだなー。性格もあってたと思うし、身体の相性もよかったし」
「……」
身体の、相性。
そっと智紀さんを見る。
俺よりも年上で経験豊富なのには間違いない。
好きな相手がいて、振られたけど――シたんだ。
「千裕くん?」
「あ、はい」
付き合っていなくてもそういう関係になる、というのはわかる。
俺だって経験はなくはないし。
「どうかした?」
顔引きつってる、と俺の頬を突いてくる智紀さん。
慌てて首を振る。
「ああ、身体の相性のところで引っかかった?」
……この人、テレパシーでもあるんじゃないのか。
自分としてはあんまり顔には出してないつもりだったんだけどな。
「いや……どういう関係だったのかなぁと思っただけです」
親友の知り合いだとか、なんだとか。
年下の子ということは聞いたけど。
「その……エッチまでしたならその相手の人もそれなりに智紀さんのこと好きだったんじゃないのかなと思って」
俺の好きな鈴ならありえない。
鈴相手にそういう行為を付き合う前にしようとも……思わないし。
「さー? 俺が強引に誘ったからね」
「……押しが強いんですね」
「まだ好きかどうかの自覚をしていなさそうだったから、隙をついてみました」
ひきょう者だからね、俺は。
煙草を咥えて笑いながら智紀さんはそのまま続ける。
「それに"好き"ではないにしろ好意を持たれてるのは確かだったからね。身体の相性が良ければ好転するかもしれないし?」
「……でも強引にして嫌われたらとか不安はなかったんですか?」
「そのときはそのとき。どっちにしろ告白すればうまくいくか振られるかのどっちかなんだしね。まぁとはいっても俺も強硬手段に出たよね、とは思うけど」
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