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春、私は泣いていた。
春、別れの季節、出会いの季節。
いつからか、満開の桜の下で青い青い空を見上げるのが習慣になっていた。
春が来るたび思い出す。
不思議な不思議な出会い。
もうあれは夢だったのかも知れないと思えるくらいにおぼろげで。
あんなにはっきり思い出せていた景色は霞みつつある。
それでも春が来るたび、桜が満開になるたび、青く澄んだ空を見上げるたび
もう思い出すのも難しい記憶を辿る。
春、泣き虫はそろそろ卒業しなきゃいけない
見上げた空にポツリと落ちる言葉。
「ごめんね、まだ約束、果たせてないや」
春、私の背中は押された。
このままじゃ、ダメなんだと。
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