10人が本棚に入れています
本棚に追加
あの日、私は泣いていた。
別れが辛くて、出会いが怖くて。
少し小高い丘に1本だけ堂々とそびえ立つ桜。
満開に誇らしげに咲いているその木の下で、その木には見合わないほど情けなく泣いていた。
なんで季節はめぐるんだろう。
なんで時間は過ぎるんだろう。
そんな自然の摂理に理不尽な怒りと哀しみを抱いていた。
ずっと一緒と約束した友達も、いつの間にかいなくなっていて
脳裏に過ぎるのは寂しそうな友人の顔。
仕方の無いことだと、わかっているつもりだった。
子どもは大人に逆らえないから
いつも大人に振り回されてばかりで。
仕方の無いことだとしても
私はそれが許せなかった。
最初のコメントを投稿しよう!