泣き虫

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あの日、私は泣いていた。 別れが辛くて、出会いが怖くて。 少し小高い丘に1本だけ堂々とそびえ立つ桜。 満開に誇らしげに咲いているその木の下で、その木には見合わないほど情けなく泣いていた。 なんで季節はめぐるんだろう。 なんで時間は過ぎるんだろう。 そんな自然の摂理に理不尽な怒りと哀しみを抱いていた。 ずっと一緒と約束した友達も、いつの間にかいなくなっていて 脳裏に過ぎるのは寂しそうな友人の顔。 仕方の無いことだと、わかっているつもりだった。 子どもは大人に逆らえないから いつも大人に振り回されてばかりで。 仕方の無いことだとしても 私はそれが許せなかった。
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