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そんな風に優しくされた事などないボクは、涙を零しながらその掌のぬくもりに少しずつ癒やされていった。
彼の腕の中で誘われるようにゆっくりと瞼を閉じ、強張った身体の力を静かに抜いていく。
眠りに落ちる間際、今日の出来事が走馬灯のように脳裏をよぎる。
長い長い夜だったけど、ボクは漸く心安らげる“居場所”を見つけた。
彼は“コウちゃん”じゃない、そんなことは分かってる。だけどボクは彼の為に生きたい。
そして彼の為に死にたいと思った。
贅沢な望みだろうけど彼は許してくれるかな?
ううん、きっと彼は許してくれる。
さっきずっと傍にいてくれるって約束もしてくれたもん。眠らせる為の方便だったとしてもボクはその言葉を信じる。
もしも後で裏切られてもきっと後悔はしないと思った。だってボクはもう彼なしでは生きられないだろうから……。
会ったばかりの人なのにこんな心惹かれるのは変かな?
でもこの温もりを知ってしまったから、手放すことなんてもうできそうにない。
それこそ彼の腕の中で地獄を見ることになってもそれは本望だった。
後のことはもう何も考えず、ボクは深い深い眠りの世界へと落ちていった―――…。
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