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「それで?煌騎その子、マジでどうする気だ?」
腕に抱く餓鬼が深く寝入ったのを見計らって、長年連んでいる仲間で俺の親友でもある和之が真剣な面持ちで声を掛けてきた。
その言葉を聞く限りでは、こいつもさっきの俺の言葉をそのまま信じてはいないようだ。
見ると流星や虎汰、朔夜なんかも神妙な顔つきになり、俺たちの周りを取り囲んで様子を窺っている。
さすがにこいつらに誤魔化しは通用しないかと口端を僅かに上げ、自嘲気味に笑いを零す。
仕方がないので俺は少しネタバラしをする事にした。
先ほど車の中で気が付いた事を……。
「このままここに放置するワケにもいかねーだろ。それに……」
こいつらにも見えるよう腕に抱く子供の丈の長いワンピースの裾を捲り上げ、右足首を少しだけ覗かせた。
―――瞬間……、
「「「「―――…ッ!!?」」」」
和之らが息を呑むのが分かる。
奴らの目に映ったモノ、用途は様々だが主に獣や『何か』を拘束し、それらの自由を奪うもの……。
つまり俗にいう“足枷”というヤツが小さい右足首にはあった。幼い頃に付けられたのだろうソレは、既にサイズが合わなくなり細い右足首を更に細め、痛々しく肌に食い込んでいた。
それに靴も履かず森林の中を駆けずり回っていたのか、裸足の足は小石や小枝なんかで深く傷ついている。
他にも子供の身体は衣服で見えない場所も含め、痣や裂傷だらけでボロボロだった。
「―――ンだよッ、コレッ!!?」
「……もしかしてこの子、誰かに監禁されていたのかな」
「マジかよ、あり得ねぇ……っ」
「正気の沙汰じゃねーよっ!こんなにちっこいのに……ッ!!」
憤りを感じながら口々に「許せねぇっ」と声を荒げて言う虎汰や流星たち。
まるで自分のことのように怒りを露わにする。
イイ仲間を持ったなと内心思い、俺は誰にも悟られないようこっそりとまた口角を上げた。
「とりあえずこいつは倉庫に連れて帰る。いいな?」
そう問うと4人はさも当然というように強く頷いた。だが神妙な面持ちもここまで……。
こいつらはまたいつもの調子に戻る。
「……で、どうするよ?」
「そりゃ~当然、俺たちでこの子助けちゃう?」
「……………フッ、」
何か企んだように流星が言うと、虎汰や和之らも質の悪い笑みを浮かべて次々に賛同し始めた。
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