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今日は特別な日である。それは、僕の誕生日だからだ。天皇陛下とか芸能人なら人々に祝福されてるのだが、一般人には人々の注目を集めることがない。まして40歳を過ぎれば、誕生パーティーは子供たちが主役として行われるイベントである。
テレビに映らない僕には、誕生日とは一つ歳が増える事である。誕生日が来たら嬉しいのは25歳までであって、それ以降は、自分が一歩ずつ死へ向かってるのだ。もちろん人間は、百分の一秒単位で老化している。誕生日とはその暦日である。
今年で、46歳になる独身男としては、誰にも会いたくない。むしろ、「いい歳して、家庭も持たないで何をしてるか?甲斐性なし!」とイヤミを言われるのが関の山である。
丁度祝日に生まれた僕は、学校で誕生日を迎えたことがない。小学生までは、クラスで纏めて誕生パーティーをしてもらったことがある。だが、誕生パーティーは、中学生になると無縁になった。元々、西洋的な文化を嫌う親は、子供の誕生パーティーを開催する発想がない。寧ろ、自分の誕生日を神式で誰かから祝ってもらいたい性分である。ちょっと身勝手な人だなぁと思う親も、とっくに鬼籍に入っている。
親から祝ってもらったことがない僕の誕生日を自ら祝うことにした。僕の誕生日が祝日ということもあって、みんなを誘うことにした。しかし、誰も誘いに乗って来ない。家庭持ちの人には、我が子第一で僕のことなんか眼中にもない。
今年も誰からも相手にされない僕は、一人で祝うことになった。
明日の仕事に響かないように外ではしご酒するのはよした。とりあえず、ディスカウントショップでローストビーフやサラダ、酒などを買い揃えた。そして、二人分のケーキにろうそくを立てて火を付けた。
テーブルセッティングが終わった所で、ろうそくの火を消した。僕は、テーブルの上に並べてあるものを食べたら気分良くカラオケをし始めた。僕によく合った曲を選曲してからマイクを握って歌った。僕は寂しいのを忘れて歌で発散した。酒も回り疲れてきた僕は、眠くなって床の中に入って寝た。
次の日、昨日の残り物を朝食として食べると出勤した。昨日の一人パーティーを知らない同僚と一緒に仕事をして、会社から帰ったら残り物のつまみを食べながら残り酒で一人晩酌をするのであった。
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