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二人のやり取りをすぐ傍で、遠巻きに眺める。
「かなり良くなられたようですよ。今日はおひとりで起き上がることができました」
ゼセルの調子を簡潔にミラベルに報告する。
「まあ、それは良かった。元気になるのは、もうすぐね」
ミラベルは言葉の隅々に笑みを飾る。
ゼセルの方はというと、うつむいたまま体を硬くしている。
このまま床に伏せっておきたい。そう言いたいようだ。
「ねえ、ゼセル。起きていると、髪が邪魔にならないかしら?」
ミラベルが中途半端に長い主の髪に触れる。
「いいよ。このままで」
ゼセルの言葉を無視して、お付きの侍女がどこからともなく結紐と櫛を持ってきた。
「ありがとう。マルカ」
侍女にそう言うと、ミラベルが紐を手に取った。
「ミラベルさま?」
マルカが目を丸くする。
「いつもの三つ編みでしょう? 私が結うわ」
「ミラが? 結んだことあるの?」
ゼセルも驚いている。
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