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「今日は特別な日だ。やっと会えたね」
産まれたばかりの我が子を、恐る恐る抱いていた君のパパ。
君のパパは、普段から感情を表に出さない人だったから、ママはその時のことをよく覚えているんだよ。
パパはそう言って、小さな君を愛しそうに微笑みながら、見つめていた。
君が産まれた日のことも、昨日のことのように覚えているよ。
4日前から陣痛が続いていて、その日も、朝からママは繰り返す痛みに、ずっと耐えていたんだ。
パパは、そんなママをよそに、持ち込んだ書類の整理を淡々とこなしていたな。
朝も昼も、ご飯が食べれないくらいに痛みが襲ってきては、何度もベッド柵にしがみついていた。
きっとその時、君は何がなんだか分からないなりにも、必死に外へ出ようとして頑張っていたんだろうね。
君のその頑張りが、あの時のママには、とにかく痛くて、たまらなかったなぁ。
夕方近くになって、分娩室へ行って君を産む時、ママがどれだけ頑張っても君が産まれてこないから、実は1度、へこたれそうになったんだよ?
でもね、助産師さんに、ママになるんでしょって叱られたんだ。
叱ってもらえたお陰で、ママは冷静になれたんだよ。
君のことを絶対に産むんだって、強く思った時。
そしたら突然、君が出てきたんだ。
君が突然現れたものだから、助産師さんも産科の先生も、それは慌てていたよ。
後で聞くと、そんなに早くに産まれてくるとは思ってなかったんだって。
産まれてきた君の産声は、驚く程小さくて、まるでネコみたいに泣いていた。
ニャーってね。
助産師さんが、産まれてまもない君を綺麗に拭いてくれて、ママのところに連れてきてくれたんだけどね。
ママの胸元に乗っかった君は、それはもう本当に小さくて。
でもその時のママは、すっかり疲れはてていてね。
他のママのように、感動したと涙を流す訳でもなく、会えて嬉しいと喜ぶ訳でもなく。
ただ、裸ん坊の君が寒くないのかなって、それだけを心配していた。
産まれたその日の晩から、君はママと一緒に寝たんだよ。
産まれる前もずっと一緒。
産まれてからも、ずっと一緒。
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