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「事割るに《説明すると》懸想とは、
恋い焦がれる事だ。
憧らすとは、落ち着きを失わせて、
さ迷わせる事じゃ。
ちなみに淫事は、閨事とか、睦み事、交合、
夜伽などと言う。
尾びれ背びれ濡れの話よ」
俺が？マークを掲げ彼女を見つめると、
それを見て彼女は付け足した。
「つまりまぐわる事よ」
わかんね～
まるでアナクロ(時代錯誤)の墓畔に迷い込んだ様な錯覚に、目眩を覚える。
「なんじゃ？
構わぬ。
腹臓なく申せ。
いわまくがよい」
「すまないが、君の言っていることは全て知らない言葉だ」
異邦のたたずまいの少女は少し困った様に顔をしかめ思案すると、覚悟を決めたようにこちらを見つめた。
「これ以上の問答は、益体も無い。
是非もなし。
よんどころないか(やむおえぬか)。
わかった其許よ、少し目を結べ」
唐突に彼女は俺にそう言う。
「なんで？」
俺が理由をたずねようとすると両手で口を塞がれた。
「良いから言われたとおりにせよ」
俺は幼女のその妖艶な迫力に圧され、
言われるままに目を閉じた。
しばしの空白の時間、俺は自分の都合の良い空想にひたる。
定番で言えばここは白馬の王子が女性にキスされるシーン。
だが常識からかけ離れた幼女が、そんな行動に出る想像にどうしても結びつかない。
彼女が近付く気配がした。
そして想像上の彼女は、手にした包丁で俺を刺す。
そんな不吉な空想がよぎった瞬間、俺はたまらず
目を開けていた。
同時に俺の眼前を埋めた影は、俺と結合していた。
唇に柔らかな感触がくわわる。
それが幼女の唇の感触だと理解するのには、少々の時間をようした。
ー３ー
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