本編

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勘違(かんちが)いするな。  お前のどこが、俺より歳上に見えるんだよ」 「なるほど、帰属(きぞく)論拠(ろんきょ)か。  見た目など益体(やくたい)もない(役にもたたない)事ぞ。  ならばそなたの言っていた大人を(とうと)べとは、  個人の価値観に依存(いぞん)する曖昧(あいまい)なものとなる。  それは突き()めれば自分の都合(つごう)の良い様に解釈(かいしゃく)しエゴを(とお)(ため)方便(ほうべん)、  讒言(ざんげん)となるが相違(そうい)ないか?」 「それは、えっと・・・ 」 その幼児とは思えない神憑(かみがか)り的な論法(ろんぽう)を前に、 それを正座して聞く、成人男性がそこにいた。 あまり深く考えるのは精神的に良くなさそうだ。 俺は何故(なぜ)納得(なっとく)いかない考えをまとめる。 とは言えリファレンス(参考)するにも辞書がない。 つまりは鵜呑(うの)みにするか、否定(ひてい)するしかないのだ。 第三の選択として電波幼女として()でると言うのも あるが。 幼女はその間、まくしたてる事もなく、 それを静かに見守っていた。 「そもそも俺は(みと)めてない。  君が俺より歳上だと言う証拠(しょうこ)が  (しめ)されてないじゃないか」 何故(なぜ)二人称(ににんしょう)が君に変わっている事実に、 軽い敗北感を覚えた。 「そうじゃのぅ。理非(りひ)(道理)もなし。  だがそれは同時に、(われ)がお主より年下じゃと言う  証拠(しょうこ)もないと言う事実にもなるがのぅ。  証拠が必要と言うなら、現時点ではどちらとも言えない中立地点。  証拠もないのに、決めつけた不敬(ふけい)物言(ものい)いをしているのは、  そちと言う事になるぞ。  (かい)(理解)せよとは申さぬが、  ことの条理(じようり)(筋道)は、わきまえぬか。  せめて節度(せつど)は、わきまえよ。」           ー5ー
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