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完敗だった。
齢16にして、幼女に諭される惨めな何かが
そこには存在した。
これは悪夢だ。
断じて俺と言う個人ではない。
自我を否定し客観的に、自己を見つめる事を覚えた16の春である。
てっ!完結出来るか!
「少し大人気なかったのは認める。
認めるが常識的に考えてだ。
君が俺より歳上だと考えるのは不可能に近い。
そうは思わないか?」
彼女は少し考えてから微笑んだ。
「そうじゃのぅ。
わしも少し配慮が足りなんだか。
少しいじめ過ぎたようじゃのぅ。
では、詳ら(詳しく明らさま)にしても良いが、
それではそちも、立つ瀬が無いじゃろう」
「そこで提案じゃ。
これから起臥(毎日の生活)を共にするのじゃ。
ここは気がねなく、お前様と姫君とでも、
呼びあうと言うのはどうじゃ」
俺は頭痛を感じながら、この電波幼女の
難解な宇宙語を翻訳する。
ようするに、仲良くしたいと言う事にしとくか。
「わかった。
暑苦しいのは俺も苦手だからな。
俺は勝手に君と呼ばせてもらう」
「姫君の君か。
安直(手軽)な。
まぁ良いじゃろう。
では妾も勝手に、お前様と呼ばせてもらうぞよ。
文句あるまい」
いやそれ、色々と周りに誤解を与えるから。
その容姿でさそう呼ばせていると思われた時の、
社会的地位の失墜が脳裏をよぎった。
「其許で、お願いします」
俺は彼女に土下座していた。
「おぼこ《うぶ》よのぅ。
まぁ、それで良いぞ!」
そう言うなり幼女は、唐突に組んでいた足を解き、その小さな足で俺の顔を踏んづけていた。
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