本編

13/16
前へ
/183ページ
次へ
開かれた(また)の間、和服の隙間(すきま)から小さな縦筋(たてすじ)が、 その存在を誇示(こじ)するかのように、堂々(どうどう)と覗いていた。 露出狂(ろしゅつきょう)の魔法少女が、堂々とパンツも()かず、 その陰部(いんぶ)(さら)(たたず)んでいた。 童貞(どうてい)(こじ)らせ過ぎた引きこもりの俺に、 その光景はあまりに刺激が強すぎ・・・ 天国のおじいちゃん。 俺は今日初めて女の子の陰部(いんぶ)を見ました。 追伸(ついしん) おじいさま。 ずっと引きこもっていた息子が今日、 立ち上がっています。 地球温暖化(おんだんか)はますます深刻(しんこく)な様です。 ()りし日のおじいちゃんの表層(ひょうそう)が浮かんで 微笑む。 「和輝(かずき)、和服は基本、下着を着けないんだぞ」 そう(ささや)いてウインクしていた。 悪魔の囁きか!! なんと言う事だ。 天国のおじいちゃんは、実は地獄に落ちていたようだ! 人は老いに向かうにつれ若さと性を求めると言うが(ジジイ)は地獄に()ちて益々(ますます)(さか)んな様だ。 その地獄の御老公(ごろうこう)が、再び(ささや)く。 「今じゃ! 助さん、(べい)さん。 助平(スケベイ)さん。印籠(いんろう)じゃ」 そこには、この印籠(いんろう)が目に入らぬかとばかりに、 処女の印籠が(かか)げられていた。 地獄から出て来るなジジイ! 生臭(なまぐさ)ジジイのせいで、俺の童貞力は無意味な知識の羅列(られつ)をひいて理性を(たも)つのに奔走(ほんそう)するはめになっていた。 室町(むろまち)時代の女性は、風呂に入る習慣が無く臭かったとか。 童貞は、貞操(ていそう)を30年守ると、妖精になれるとか。 ()めるなよ。 俺の童貞力は、エベレストより高い。 童貞を守り抜くこと、それすなわち清廉(せいれん)(あかし)。 とは言え、いつ暴走してもおかしくないこの状況を打開(だかい)すべく俺は、彼女に話かけた。
/183ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加