本編

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人の価値は内蔵の色で決まると言う。 陰部(いんぶ)外部(がいぶ)(さら)された内蔵だと言う。 俺はその羞体(しゅうたい)に目を奪われたまらず握力を失い、 その瞬間手から彼女の足がすり抜けていた。 次の刹那(せつな)。 俺は幼女の小さな足に顔面を(いきお)いよく()まれ、 仰向(あおむ)けでのけぞっていた。 「ふごぉー」 ()れでた奇声(きせい)と共に俺の鼻腔(びくう)に熱いものが込み上げ、それが鼻筋(はなすじ)をつたって流れ出るのを感じた。 鼻をさすような刺激(しげき)が、目眩(めまい)のように鼻の(しん)を突き刺し、焼き付いて突き抜けていく。 広がる熱い血潮(ちしお)の鉄の香りが鼻の奥一杯で破裂し、脳を突き抜けた。 プールサイドで鼻を押さえる子供さながらに俺は悶絶(もんぜつ)していた。 海原(うなばら)漂流(ひょうりゅう)する(わらしべ)(ごと)く、そのとき想起(そうき)したのは郷里(きょうり)の優しい(うた)だった。 羊水(ようすい)は、広い~なぁ~♪ 大~きぃ~なぁ~♪
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