煩悩経《ぼんのうきょう》

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南無阿弥陀仏(ナムアミダブツ)。 アミターユス。 (命限りなし) アミターバ。 (光限りなし)」 (あきら)め混じりの嘆息(たんそく)がする。 「易行他力(いぎょうたりき)とは法然(ほうねん)か!」 聞こえない、見えない、思い出さない。 「南無三(なむさん)秘部(ひぶ)さん。 未通女(おぼこ)さん。 南無三(なむさん)。 穴さん。 幼児さん」 「思春期(ししゅんき)(わらべ)か!! 馬鹿者(バカもの)! いちいちまどふでない。 (われ)は気にせぬから、 その(わけ)(わか)らぬお(きょう)もどきをやめぬか!」 「煩悩退散(ぼんのうたいさん)陰裂退散(いんれつたいさん)」 「ええい! むつかし(うっとうしい)。 まどふでない。 やめろと言っておろう!」 再び()んづけられ、陵俗(りょうぞく)され、その神の領域(りょういき)目撃(もくげき)する。 「即物的(そくぶつてき)(あさ)はかで、見るにたえない・・・ 」 「そう言いながらガン見しとるのぅ」 全ての国民は知る権利を(ゆう)し、 その権利を満たすべく活動すると言う。 人類の根本(こんぽん)()概念(がいねん)。 それは痴的好奇心(ちてきこうきしん)(あら)ぶる乙女(おとめ)矜持(きょうじ)。 それを()の当たりにし、想像力の欠如(けつじょ)した童貞(どうてい)に、その姿はあまりに神々(こうごう)しく。 (あわ)れな童貞に今、神の救いの手がもたらされる。 そうか!? そうなのか? そうだったんだ! 俺の人生は、今日この日の(ため)にあったんだ! この日の為に、菊池(きくち)和輝(かずき)という人間は産まれ、 生きてきたんだ。 神に愛されし処女の"威光(いこう)"を前に、 俺は(さと)りをひらく。 感服(かんぷく)服従(ふくじゅう)従僕(じゅうぼく)= (かん)(ぶく)(じゅう)(ぼく) 俺はその至高(しこう)造形(ぞうけい)を前に、(おが)み始めた。
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