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身長2mを超える筋骨隆々な強面の男が、明らかに特注サイズの学生服を着て歩いていたら人はどんな反応をするだろうか。
「でけえ……」
「おい、目合わせんな!」
「コスプレ?」
このような反応になる。街を歩けば必ず視線を集め、2~4回は職務質問を受ける。だから彼は本来あまり地元の田舎を離れないのだが、この日は訳あって都会へ足を運んでいた。
「ねえ仁、なんか浮かない顔してるけど大丈夫?」
「そりゃ喧嘩売ってんのか?なんで日曜日にお前と2人で遠出せにゃならんのだ。しかも制服で」
「ご、ごめんね?」
文句を言っている大男の名は榊仁。こう見えて18歳の高校3年生であり、世間一般では青年、若者と呼ばれる年齢である。対して仁の隣を歩く華奢な男は坂本優貴。170㎝程の身長と、かなり整った顔立ちをした仁のクラスメイトだ。彼等はとある学校行事の実行委員に抜擢されており、その下見の為に都会に来ていた。
「俺は人混みが苦手なんだよ」
「ごめん……でも、実行委員決める時に学校休んだ仁も仁だと思うけどなぁ」
「馬鹿野郎。どこの世界に妹の運動会より学校を優先する兄貴がいるんだよ」
「あはは……」
他愛ない会話をしながら歩く2人の足元に、何の前触れも無く魔法陣が出現した。
「は?」
「え?」
青く輝くその魔法陣は強烈な光を発しながら、2人と共に地球から姿を消した。
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