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「やったぞ!召喚は成功した!」
「これで魔王に勝てる!」
「勇者様の召喚に成功した!」
「国王陛下万歳!王女様万歳!」
「やかましい!!」
石造りの薄暗い部屋。豪華な服を着た貴族のような人達と、その貴族より更に高価そうな衣服を身に着けている女性。そして頑強そうな鎧を着用した騎士が十数人。人族を脅かす魔王を倒す為、異世界から勇者を呼ぶ儀式の成功に喜んでいた彼等だったが、大気を震わす程の一喝で瞬時に口を閉じた。
「仁!仁落ち着いて!」
「ギャーギャーうるせえぞ!何だテメエ等は!」
「な、なんと野蛮な……」
「この野蛮人を取り押さえろ!」
貴族の命令で騎士達が仁を取り囲む。慌てふためく優貴は王女に手を引かれて近衛兵に守られている。
「大人しくしてもらおうか。抵抗するならばこの場で殺す」
「……やってみろよ。その代わり、どうなっても知らねえぞ?」
「ほざくな蛮族が!」
騎士の1人が仁の心臓目掛けて槍を突き出す。しかし槍は仁の心臓を貫くことなく、胸筋に阻まれてへし折れてしまった。
「なっ!?」
「そんな馬鹿な!」
「ククッ……よく解らんが、面白い状況だってのは解ったぜ」
仁は口角を吊り上げて獰猛に笑う。それを見て、優貴の顔は真っ青になっていた。
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