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「お兄ちゃん、お腹すいた~」 「もう少し待ってな、もうすぐ親父が美味しいものを持って帰って来るから」  そう言って弟たちをなだめていると、親父が帰って来た。  親父は明らかに落ち込んだ顔をしていた。手には何も持っていないことは見るまでもない。 「どうしたんだ親父、今回はたくさん収穫したじゃないか」  「実はもうすぐバレンタインデーとやらで大量のチョコレートが必要だって言われて……」  その先は言わなくてもだいたい分かった。ただでさえ安く買われているのに、今回は更に安く買い叩かれたのだろう。 「しょうがないじゃないか、安くしないならもう買わないって言われたんじゃ」  きっと言葉にしなくても俺の怒りが顔に出ていたのだろう。親父に向けたつもりはないが、勘違いするのには十分だった。  チョコレートがどんなものか知らないが、それが俺たちが収穫したカカオから作られていることは知ってる。  そのチョコレートが大量に使われてるバレンタインデーとやらは俺たちにはロクでもない日なのは間違いない。
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