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カメラに映っているのは、恐らく涼川美麗だろう。彼女たちにバレないように、掲示板の裏に隠れてスマホを構えている。その光景を見て俺は、無性に腹が立ってきた。
認めたくは無いが、確かに彼女は俺が認めるほどの美少女だ。性格を知るまではドキドキしてたのも事実だしな。けれど、その姿を盗撮している彼になぜだか腹が立つ。ホント、なんでだろうな。
苛立っている理由が分からないまま、俺は盗撮野郎に接近し、声をかけてしまっていた。
「おい、そこの掲示板裏のお前」
俺の声を聞いた彼は、焦った表情でスマホを背中へ隠す。なんて言えばいいのか、全く頭に文章が浮かんでこなかったが、ここはベタな台詞で押し通そう。
「盗撮だなんて趣味が悪いな」
「と、盗撮?!ぼ、僕が?」
「あぁ、そうだ。一先ず携帯を」
「よこしなさい」
背後からの声に俺の背筋は凍ってしまった。そう間違いない、この声は朝ここで聞いたヤツの声だ。
「盗撮だなんて、いい度胸ねあなた」
「ち、違う!誤解だ!」
「そんなに私の姿を写真におさめたくて?」
「と、撮ってなんかいない!この男のデタラメだ!」
「あら、私に嘘は通じないわよ」
俺はもう黙って事が進むのを見守るしかなかった。朝見たのと同じような光景が、目の前で再生されている。
「私の姿に惹かれちゃったんでしょ、ね」
そう言いながら彼女は盗撮男の頬を撫でる。盗撮男はというと...もう駄目だ救いようが無さそうだ。
「は、はい...///」
すると、手の力が抜けたのか、スマホがスルッと彼の手から離れ、地面に落下した。
「はい、よく出来ました」
-バキッ
彼のスマホは彼女によって踏み潰されてしまった。彼も色んな感情が交差し、放心状態となっている。
-やれやれ。
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