第1章 No sweet without sweat

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 背後から予期せぬれいとうビームが放たれ、こおり状態になった俺は、未だに身動きがとれていない。そうしている間にも彼女がこちらへと近づいてくる。 「そういえば御礼がまだでしたね、どうもありがとうございました」 「い、いえ、俺は...」  黒薔薇のプリンセスに話しかけられ、俺はとてつもなく動揺していた。今度は俺が餌食になるのか?少し早いが次の転校先もそろそろ視野に入れておくか…。  絶望的な表情をしている俺の様子など気にもせず、彼女は言葉を続けた。 「何か御礼をしてさしあげたいのですが、何がいいかしら」  そう言いながら指を下顎につけ、考えるているご様子。 (ヤバい、可愛い。惚れそうだ...)  いや、しっかりしろ、俺!コイツがどれだけヤバい女か、朝から見てきただろ。きっとこれも罠に違いない! 「いや、御礼はいいですよ...」 「いいえ、しっかり御礼をさせて頂戴」  どうするよこれ...と、俺は頭を抱えていた。御礼と言われても、よくよく考えたら俺、何もしてないし…。思ったことをそのまま口にしてみる。 「助けになるようなことは何もできなかったので、御礼と言われても...」 「そんなこと無いわ。だってあなた、私に惚れたから助けてくれたのでしょ?」 -What's?!  今この女、何て言った。私に惚れたから助けた?何をいいやがる! 「ち、違いますよ!俺、あなたに興味なんてこれっぽっちも無いので!」 「きょ、興味無いですって?!」  今の発言はヤバかったか...?とにかく脳がパニック起こしてるせいで、台詞が思い浮かばない! 「じゃ、じゃあ俺はこの辺で...」  そう言って俺は逃げるようにその場を立ち去った。 ますます彼女との接近が危うくなり、明日からの雲行きが怪しくなる。 「興味無いですってね」  西条に置いて行かれ、雪菜と二人きりになった彼女の周りに黒い薔薇が一斉に咲き乱れていく。 「お姉様...?」  雪菜の呼びかけに耳も傾けず、クスクスと不敵な笑みを浮かべた。 「いいわ、どんな手を使っても、私が貴方を惚れさせてあげる」 「私は思い通りにいかないのが“大嫌い”だから」
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