第2章 Never judge by appearances

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 人を見かけだけで判断するのは大変危険だ。俺はそれを登校初日の校門で、「黒薔薇のプリンセス」こと涼川美麗に教えこまれた。  俺が転入してからしばらく経ち、今は5月のゴールデンウィーク前。少々汗ばむ季節になってきたが、俺は未だに学校と馴染めていない。 「西条君、涼川さんと仲いいんだって?」 「何の冗談だ若瀬」 「だってあの涼川さんが自ら男子に話しかけてるって、学校中で話題になってるよ」 「全くどいつもこいつも...」  因みに俺が今、会話をしている相手は前の席の若瀬 満知留(みちる)。俺の数少ない…というか唯一の友達だ。  背は俺より低めで小柄。世間一般でいうカワイイ系男子と呼ばれるやつで、成績は俺よりも遥かに優秀だ。こいつも皆から好かれており、教室でぼっちにしている俺を見て、自ら声をかけに来たのだ。べ、別に嬉しくなんか無かったぞ。 「でも涼川さん、美人だし、成績も優秀で凄いよね」 「あぁ、外面だけはな」 「僕も彼女みたいな完璧な人間に...」 「大丈夫だ若瀬、お前の見た目も成績も充分優秀だから」  若瀬は恐らく俺のクラスの中ではトップの成績を誇っている。たまに勉強を教えてもらうこともあるしな。だが、こいつの言う完璧な人間に涼川が含まれるのか、微妙なところでもある。性格を考慮しただけでも、若瀬の方が圧倒的に優秀だ。  だが本人は学年主席を目指しているらしく、あの黒薔薇のプリンセスが居座っている限りは不可能だと、いつも俺に言ってくる。主席ってそこまで重要なのだろうか、俺にはさっぱり分からない。 「俺、涼川さんに告る!」 「お、堀内!ついにやるんだな!」 「ああ!」  教室の奥で誰かがほざいているようだ。俺には関係の無い話だが。 「また、涼川さんに告白する人出てきたね」 「いつもの事だろ?」  正直に言って皆、結果は目に見えている。涼川美麗がOKを出すはずが無いと。あの女は男を遊び道具としか見ていなさそうだからな。  そんな会話を若瀬と2人でしていると、休み時間終了の鐘が鳴った。
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