第2章 Never judge by appearances

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 俺の“興味ない”発言以降、涼川美麗は俺に接近を試みるようになった。話の途中で逃げ出したことに関しては、幸い何も言われることは無かったのだが、彼女が接近してくるようになったのは予想外の出来事である。  相変わらず、彼女が何を考えているのか、全く検討も付かず、彼女が近づいて来ても、当然俺は嬉しくとも何ともなかった。 「帰り道、どこか寄るか若瀬?」 「うーん、西条君に任せるよ」  ちなみに今は放課後で、俺達はこれから帰宅ルートに突入する所だ。今日は若瀬も部活は休みで、俺は言わずとも部活には所属してない。 「何か食って帰るのもいいな…。どうだ?」 「うん、イイと思うよ!」 「よし、じゃあ何か食べたいものあるか?」 「うーん...」  俺はいつでも帰りに好きな店に寄れるので、今日はゲストの若瀬に店を選んでもらおう。そんなことを考えていると、背後から誰かの…いや、ヤツの声がした。 「先日オープンした駅前喫茶なんかどうかしら?」  間違いない、涼川美麗だ。嫌なタイミングで遭遇するものだな......。 「や、やあ涼川さん。元気...?」 「ええ、元気よ。これからお帰りかしら?」 「そ、そう。見ての通りだよ」  この女の企みはなんだ、何が目的だ…!戸惑いと苛立ちの感情を抑えつつ、彼女から逃げる方法をひたすら模索する。 「もし宜しければ帰り道、ご一緒しません?」  今日の誘いは帰り道か。だが、残念だったな涼川さん、今日は先約があるんでね、今日はこれで失礼するよ。……なんて言えたら、どんなに気が楽か。 「い、いや、俺達これからゲーセンに行こうと思ってて。涼川さんはゲームとかしないだろうしさ。おっと、そういえばもうすぐ大会の時間じゃないか!ほ、ほら、急ぐぞ若瀬!」  俺はとにかくその場から離れたいがために、ダッシュで学校をあとにする。 「え、ちょ、ちょっと待ってよ西条くん!」  俺が突然走り去ったがために、若瀬も急いで走り出す。そしてまた、彼女と雪菜の2人だけが取り残されてしまった。
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