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またしても彼に逃げられてしまった。涼川美麗は完璧主義であるがために、彼の行動を見逃すことができない。そして、彼の変わらぬ無関心さに対して日に日に怒りを募らせていく。
「ホント気に食わない!何なのよアイツは」
「お姉様、彼にそこまで拘らなくてもいいのではないでしょうか…」
「雪菜は黙ってなさい。あなたに私の何が分かるというの」
今回も雪菜は彼女の勢いに押しつぶされてしまった。発言の自由など有りやしない。そして話は、次の作戦の内容へと移っていく。
「お昼を誘うなんてどうかしら。他の生徒の前で大胆に誘えば、いくらあのヘタレ男でも乗ってくるはずだわ」
1人でぶつぶつと呟く涼川美麗と、それを無言で聞き続ける雪菜。
「雪菜はどう思うかしら?」
「わたしですか...?お姉様の考えでしたら、なんでも...」
「ダメよ、あなたの意見を述べなさい」
私に聞かれても困るというのが正直な気持ちだが、彼女の機嫌を損ねないよう、何とか思った感想を述べる。
「正直に申しあげますと、それだけでは少々難しいかと...」
「失敗すると?」
少し不満そうな顔で雪菜の顔を睨みつける。
「いえ、やはり何でもありません...。とても良いお考えだと思います」
「まあ、いいわ。計画は休み明けのお昼に実行、分かったわね?」
「はい、お姉様」
雪菜には全く関係の無い話ではあるのだが、彼女の立場上返事をする。
(私に全く関心を見せないなんて、そんなことは絶対に有り得ない。絶対に捕まえる、捕まえてみせる)
-覚えていなさい、西条和也
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