第2章 Never judge by appearances

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 またしても彼に逃げられてしまった。涼川美麗は完璧主義であるがために、彼の行動を見逃すことができない。そして、彼の変わらぬ無関心さに対して日に日に怒りを募らせていく。 「ホント気に食わない!何なのよアイツは」 「お姉様、彼にそこまで拘らなくてもいいのではないでしょうか…」 「雪菜は黙ってなさい。あなたに私の何が分かるというの」  今回も雪菜は彼女の勢いに押しつぶされてしまった。発言の自由など有りやしない。そして話は、次の作戦の内容へと移っていく。 「お昼を誘うなんてどうかしら。他の生徒の前で大胆に誘えば、いくらあのヘタレ男でも乗ってくるはずだわ」  1人でぶつぶつと呟く涼川美麗と、それを無言で聞き続ける雪菜。 「雪菜はどう思うかしら?」 「わたしですか...?お姉様の考えでしたら、なんでも...」 「ダメよ、あなたの意見を述べなさい」 私に聞かれても困るというのが正直な気持ちだが、彼女の機嫌を損ねないよう、何とか思った感想を述べる。 「正直に申しあげますと、それだけでは少々難しいかと...」 「失敗すると?」  少し不満そうな顔で雪菜の顔を睨みつける。 「いえ、やはり何でもありません...。とても良いお考えだと思います」 「まあ、いいわ。計画は休み明けのお昼に実行、分かったわね?」 「はい、お姉様」  雪菜には全く関係の無い話ではあるのだが、彼女の立場上返事をする。 (私に全く関心を見せないなんて、そんなことは絶対に有り得ない。絶対に捕まえる、捕まえてみせる) -覚えていなさい、西条和也
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