第2章 Never judge by appearances

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 放課後になり、生徒会の会議とやらに余儀なく参加することになってしまった俺は、1人会議室へと向かった。 「ここでいいのか...?」  恐らく会議が行われるであろう部屋の前に辿り着き、そっとドアを開く。すると俺の視界に入ってきたのは、階段状になった教室に各クラスを代表する生徒がぎっしりと並んでいる光景であった。生徒会などの会議に参加したことのない俺にとっては、空気を吸うだけでも苦痛である。 「遅い!もう始まってるのよ。さっさと席につきなさ...」  ここで予想外のことが起こった。そう、この声、この口調。俺の前で怒鳴っている彼女は... ―黒薔薇のプリンセス...!! (な~ぜお前がここにいる!!...いや、涼川美麗は学年首席のエリート学生。ここにいてもおかしくない存在だ)  ヤツはしばらく無言でこちらを睨みつけてきた。涼川も俺がここに来たことに驚いたのであろう。さらに帰りたいという俺の気持ちが強まった、いやマジで。 「と、とにかく早く座りなさい...!」  俺は彼女の言う通り、堀内が普段座っているのであろう席に座り、一息つく。  ...やれやれ。あとこれから何をどうすればいいのか、俺は全く知らんぞ...。 「キミ、堀内君の代理かい?」  突然、隣の席のヤツに声をかけられていた。 「は、はい。タチカワ...いや、太刀川先生に頼まれて...」 「それは大変だったね。何か分からないことがあったら僕がサポートしてあげるから」  爽やかイケメンスマイルでそう俺に語りかける。 (世の中には親切なやつもおるんだな)  そんな事を考えていたのだが、ふとそいつの顔を見つめ直してみる。あれ、こいつどこかで...…イケメン、エリート、爽やか、スマイル。まさか...... 「お前、“お漏らし王子”か?!」  会議室が一瞬にして静まり返った。 「お、お、お漏らし王子言うな!!!」  お漏らし王子が慌てて声を張り上げる。顔も真っ赤で、先程までのイケメン顔はどこへ行ったと言わんばかりの惨め姿であった。なんか、自然に申し訳ないこと言っちまったなと自己反省、自己反省…。 「そこ!うるさい!!」  涼川美麗の鋭い怒り声が俺達を貫く。気が付けば周りの生徒の視線もこちらに集中していた。いや、ほんとに… ―俺が悪かったです
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