第1章 No sweet without sweat

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 容姿端麗で成績優秀、そんなエリート美少女が毎日声をかけてきたら、君はどう思うか?問答無用でOKサインを出すだろうか。  俺が間違っていたのか、世界が間違っていたのか、それだけはまだ分からないままである。正解など存在しないはずなのに…。  桜の季節が終わると、徐々に気温も暖かくなり、近くの公園の葉も色濃くなっていった。通学路は先月まで静かだったのに、今では賑やかな笑い声があっちからも、こっちからも聞こえてくる。 「リア充どもめ……」  はぁ…と溜息をつきながら、今日も学校へと向かう。  別に友達作りに失敗したわけでもないし、そもそもそんなことに興味などない。世の中ひとりでは生きていけないことは重々承知してはいるが、ひとりでいることの重要性も、もう少し周知されてほしいものだ。 「それにしても暑いな…」  地球もリア充連中が楽し気に話しているのを見て、機嫌を損ねたのだろう。だから仕返しに気温をグンと伸ばしてったぞ!みたいな。そうだ、そうに違いない。  で、その暑さに俺もやられそうなんだが…。  今は5月の上旬。長くも短くもないゴールデンウィークが終わって最初の登校日だ。 「早くしないと遅刻しちまうな」  額に汗を流しつつも俺は学校へ急ぐことにした。 「聞いたか、先週の話」 「黒薔薇のプリンセスの件か?」 「そうそれ、また一人犠牲者が出たらしい」 「今月最初の犠牲者は誰だったんだ?」 「1組の堀内。あいつ張り切ってたからなぁ…」 「しばらくは学校に来ないだろうね」 「そうだな…」 ー俺はその会話を聞き逃しはしなかった。
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