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始業の鐘が鳴り、担任が教卓の前に立つ。
蒸し暑い季節になってきたものの、まだ5月の上旬ということもあってか、教室の冷房は稼働していない。下敷きやノートで扇いでいる生徒が多いのも、そのせいだろう。
「出席確認だ。お前ら席に座れ」
ガタガタと皆が一斉に席に着き始めた。俺は窓側の一番後ろという、なかなか良いポジションに座る。
「松本」
「ーはい」
「森谷」
「ーへーい」
窓側席は深夜の通販番組よりも退屈な授業中に、体育の授業を上から観賞するという特権が得られる。
「若瀬」
「ーはい」
そして、なんといっても窓側後方は憧れの主人公席!せっかくなのだから、この機に主人公属性がついたりしないだろうか。
「西条」
しかも、教師の視界に入る確率が極めて低くなるGreatゾーン!つまり、居眠りの妨害を受ける心配もNothing!
「西条、聞いてんのか」
「……え…あ、はい!」
唐突の呼びかけに驚き、思わず席からロケットジャンプしてしまった。周りの生徒からの視線が痛い(泣)
「ボケっとするな、ボケっと。あと、堀内は今日欠席だそうだ」
そう言い残し、鬼教師の太刀川が教室をあとにした。
ーやれやれ。
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