第1章 No sweet without sweat

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 ほぼ全ての授業を居眠りで通過し、気が付けば4限終了の鐘が鳴っていた。ぞろぞろと生徒が席を離れていく。  ようやく拘束が終わった…。俺のアレルギー科目をお昼前に持ってくるなんて、時間割を構成したのは一体どこのどいつだ。  そんなことを考えつつ、数学の教材を鞄にしまい、俺は購買部に向かうため教室をあとにした。 「4限終了から30秒経過。今から向かえば限定10個のとろけるバターロールパンが買える!」  購買部までの最短ルートを頭に思い描き、そして今まさに廊下を走りだそうとした時、俺の目の前に1人の生徒が現れた。  黒いロングヘアーに、すらっとした体形。見ただけで吸い込まれそうになるくらい青くて綺麗な瞳。少し濡れた柔らかそうな桃色唇。そして色白の素肌に少し赤みがかった頬。まさに「The 美少女」が俺の前に立ちふさがっていた。  けれど俺はコイツを知っている。コイツに関わっちゃいけないし、近づいてもならない。警戒レベル5の要注意人物だ。  なぜなら彼女は…… ーあの有名な『黒薔薇のプリンセス』だからだ。
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