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「あら、西条さん、ごきげんよう」
「...や、やあ涼川さん」
彼女に声をかけられてしまった。このまま上手く流して逃げるべきだろうか...「→Yes→No」の選択肢!さあ選ぶんだ俺!
答えは......Yes!
何事も無かったかのように彼女の横を通り過ぎる俺。
「あら、何も話さずに通り過ぎるわけ?」
ギクッ?
やばいぞ、戦闘画面に移行してしまった。しかも逃げるコマンドはもう使えない!緊張感あふれる戦闘BGMが脳内に響き渡る。
「いやぁ、ちょっとお昼を買いに向かおうかと...」
「あら、そんなこと。私との会話が終わってからでいいじゃない。」
限定10個のパンが...なんて、この状況下で言えるわけがない。あと、そんなこととはなんだ。俺にとっては唯一の至福なんだぞ!
すると彼女は、長い黒髪ロングヘアーをサラッとたなびかせた。それはまるでスローモーションを見ているかのように美しい。
「おぉ...」
周りにいた男子生徒達が揃えて声を漏らす。
「さあ、西条。もし宜しければ私とお昼を...」
しかし、そこに西条の姿は無かった。残っているのは野次馬の男子生徒たちだけ。
「西条なら走ってどこかに...」
近くにいた男子生徒が震えた声で話す。
「...///」
すると、涼川の周りに黒い薔薇が咲き乱れ始めた。同時に危険を察知した野次馬たちが1歩後ろへ引き下がる。
「さ、さいじょーーーー!!!」
黒くて尖った怒りが、1階にいた俺の胸に突き刺さる。
ひっ!
その時、4階にいた野次馬男子生徒の多くが飛び火被害を受けたらしい。 ごめんな、男子共。 だが、俺は1ミリも悪くない、はず……。
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