第1章 No sweet without sweat

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「あら、西条さん、ごきげんよう」 「...や、やあ涼川さん」  彼女に声をかけられてしまった。このまま上手く流して逃げるべきだろうか...「→Yes→No」の選択肢!さあ選ぶんだ俺!  答えは......Yes!  何事も無かったかのように彼女の横を通り過ぎる俺。 「あら、何も話さずに通り過ぎるわけ?」  ギクッ?  やばいぞ、戦闘画面に移行してしまった。しかも逃げるコマンドはもう使えない!緊張感あふれる戦闘BGMが脳内に響き渡る。 「いやぁ、ちょっとお昼を買いに向かおうかと...」 「あら、そんなこと。私との会話が終わってからでいいじゃない。」  限定10個のパンが...なんて、この状況下で言えるわけがない。あと、そんなこととはなんだ。俺にとっては唯一の至福なんだぞ!  すると彼女は、長い黒髪ロングヘアーをサラッとたなびかせた。それはまるでスローモーションを見ているかのように美しい。 「おぉ...」  周りにいた男子生徒達が揃えて声を漏らす。 「さあ、西条。もし宜しければ私とお昼を...」  しかし、そこに西条の姿は無かった。残っているのは野次馬の男子生徒たちだけ。 「西条なら走ってどこかに...」  近くにいた男子生徒が震えた声で話す。 「...///」  すると、涼川の周りに黒い薔薇が咲き乱れ始めた。同時に危険を察知した野次馬たちが1歩後ろへ引き下がる。 「さ、さいじょーーーー!!!」  黒くて尖った怒りが、1階にいた俺の胸に突き刺さる。  ひっ!  その時、4階にいた野次馬男子生徒の多くが飛び火被害を受けたらしい。 ごめんな、男子共。 だが、俺は1ミリも悪くない、はず……。
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