第1章 No sweet without sweat

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 俺が「黒薔薇のプリンセス」こと、涼川美麗と初めて接触したのは、俺がこの学校に転校してきた最初の朝であった。 「同じクラスの小鳥遊です!」 「お、隣の席のやつだよな!俺は近藤だ。よろしくな!」  楽し気に挨拶を交わす生徒の間を、Gのようにスルスルと通り抜ける。入学式の1週間後に転校なんて、出オチ感半端ないよな…。実際、高2から転入ってだけでも、異物であることに変わりはないのだが。  登校初日ということもあり、まだ通学路は静かであった。そうこうしている間に、レンガ造りの少しオシャレな建物が視界に入ってきた。 「あれが俺の通う学校か。写真のまんまだな」 ー当たり前だけど。  目的地に到着した俺だが、何だか校門前が騒がしい。 (何かあったのか?)  門を通過する前に状況を確認しようと、つま先立ちを繰り返す俺。すると... 「以前からあなたが好きでした。どうかお付き合いしてください!」  マジかよ、登校初日から告白イベント発生してるんだけど。誰が告ってるのやら…。登校時間までまだ余裕があることを確認し、野次馬生徒の合間から声の主の姿を伺ってみることにした。 (一見、文武両道のエリートっぽく見えるな。少なくとも、俺より顔もスタイルも抜群だ。畜生、何か腹立つ)  きっと、お前みたいなイケメンエリート君なら誰でも受け入れてくれるさ。どうぞお幸せに~。  ここでイベント会場を離脱しても良かったのだが、最後に一つだけ…。肝心なお相手を確認しようと、俺は首を左45度回転させたのだが…。 ーぬわっ!  何だあの美人、本当に生徒なのか?! 綺麗な黒髪ロングヘアーに、魅惑的なスタイル。そして、ダイヤモンドのような瞳。見るものすべてを恋に落としそうな美少女がそこに立っていた。 (俺、この学校にして良かった(涙))  登校初日から贅沢なものを見たと、満悦の表情で校舎に向かおうとした時、相手の美人生徒が口を開いた。 「告白する前に、揺り籠の中から人生やり直してきたら??"ママっ子お漏らしお坊ちゃま"」 ーえ?
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