第1章 No sweet without sweat

7/11

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
 美少女から発せられたであろう言葉に、俺は驚愕を隠せなかった。 (今のは何かの聞き違いか...?)  唐突の出来事に俺は戸惑いを隠せなかった。けれど、周りの連中に変わった様子は見られない。 (なんだ、やっぱり聞き間違いか。念のため帰りに耳鼻科にでも寄って行こう)  ほっと一安心した俺は、その場を過ぎ去ろうとしたのだが... 「あら、あなたの事は全て調査済みよ。“お漏らし王子さん”」  彼女の冷徹な台詞が辺りに静寂をもたらす。まるで嵐の前の静けさのようだ。 (一体全体何なんだ。この状況を理解してるやつがいたら俺に教えてくれ)  周りの連中も何かに察したのか、少し距離をとって2人の様子を伺っているようだ。 「お、お漏らしだなんて、君は一体何のことを話しているんだい?」  ようやくお漏らし王子(名前知らないし、俺もこう呼ぶことにしよう)が口を開いた。 「学校とは正反対に、家では完全なるママっ子ですものね」 「い、家ではって。もしかして俺を尾行していたのか」 「あら、ママっ子は否定しないのね」 「違う、そんなことはない!」  必死に抵抗の姿勢を見せるが、彼女には全く通用していないご様子。 「あと、あまり思い上がらないでもらえるかしら?私があなたなんかに尾行するわけないじゃない」 「じゃあ何故!」 「私に偽りの姿は通用しないのよ」  これはお漏らし王子が一方的に押されている。恐らく彼の動揺ぶりからして、ママっ子やお漏らしというのは本当らしい。 「言っておくが、彼女の言っていることは全て偽りだ!」 「あら、あなたがそれを言うのかしら?」  聴衆に聞こえるよう両者とも声を張り上げている(特にお漏らし王子)。  周りの連中もひそひそと会話を始めた。俺はというと、ただ呆然と2人を眺めることしかできない。 -俺はこの後どうすればいい。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加