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藤木さんは立ち上がると、すぐさまウィンドブレーカーをはおった。
出かける? どこに? 私たち、問題ありありでしょう?
「雨、けっこう激しく降っていますよ」
「平気です」
心配したところで、とりつくしまもない。
そっぽを向いたまま、藤木さんは部屋を出ていった。なんて、頑固なんだ。
悔しくて、閉じられたドアから視線が外せなくなる。
寒々しくなった部屋で一人になると、みるみる気持ちが沈んでいった。
力が抜けてしまい、サボテンや観葉植物が並ぶ、ほっこりゾーンの前に座り込んでしまう。
「あなたたちのご主人様ひどすぎない?」
サボテンに愚痴ったところでどうしようもないのだけれど。隣のモンステラの葉までも、しょげているように垂れていて、つられて泣きそうになった。
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