序章 歌舞鬼町の抗争

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夜中の一時を回った頃 歌舞鬼会リーダーの 穏田 大和が 数名の若い衆を連れて パトロールに出向いて行くところです 不夜城である 歌舞鬼町では 朝昼夜関係なく  交代制で 自警団はパトロールをしているのだが 最近 暴力団を滅ぼしたと言われる 力を持った 鬼化人(きかじん)の事件が多発していて 命知らずの自警団若い衆も 数十名 惨殺されているため リーダー自らが 先頭に立って パトロールをこなしているのだが 「リーダー 鬼化人ってのは なんでも 麻酔棒や電機銃も利かないっての本当なんですか?」 若い衆の一人 加藤 正一(かとう しょういち)が でかい図体にも関わらず 怖そうに 訊ねてきたのが 何故か可笑しくて 「わはは そんなのは噂でぇ 今までで 麻酔棒や 電機銃ガリガリって利かない暴力団員いたかよ おそらく 何かパワードスーツかなんか着込んでてて 武器が利かなかったんじゃねえかぁ」 「ですけど リーダー 神高(しんこう)のやつらをめちゃくちゃに切り裂いたのは 人間業とは思えないんですけど」 今度は 小柄ながら度胸はある 三隅 太郎(みすみ たろう)も不安気に訊ねてきたため リーダー 穏田 大和 表情を 引き締めては「鬼化人なんざ出てきたら 俺様が 正体暴いちゃるから でえじょうぶでぇ がはは」と スラッとした体に似合わない 筋肉をつけてる 穏田 大和が こう答えるや パトロール隊の若い衆たちは 元気を取り戻しては エアーサークルに両足を乗せて ゆっくり 移動して行きます 地面すれすれを 空中移動する エアーサークルは 21世紀も半ばでは 人々の足として ほとんどの人が移動に使用する物で 我が自警団では 国から許可で 超速移動も可能な小型円盤を皆 もはや自分の手足と同じように扱っている  時速にして最高速100キロは出るのは  エアカー犯罪や 大型ドローン犯罪にも対応できる優れものであるため  もしも 先程言ってた凶悪な化け物みたいな者に襲われても 逃走は可能だと 皆 考えていました ところが まさか それを上回る化け物に襲われるとは この時 彼らは 誰一人として 思っていませんでした
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