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「まだ時間は10分もある。さっきの情報の中で、どれが嘘の情報なのか考えてみようぜ」
真司はそう言うと、二つの情報についての考察を述べていく。
「まず一つ目の情報は手に特殊なチップが埋め込まれてるってことだ。確かに、外側から見ただけじゃ、実際に何が入ってるのか分からないんだよな。案外、ただの石が入ってたりしてな」
真司が自分の掌を見つめながら言う。
「じゃあ、私が言った通りやっぱり三つ目の情報?ぴのきおはここが電波の届かない場所と言ってたけれど、ここから外の様子なんて見れっこないわ。つまり、この建物をわざわざ電波を遮断する素材で造ったのは、それに気づかせないためじゃないかしら?」
美代奈の考察を聞いて、真司は思わず頷く。
「な、何よ。その反応は」
「あ、悪い。あの時、美代奈が3番って答えたのにはちゃんと理由があったんだなって思ってさ。言われてみれば、もしこのゲーム会場が本当に電波の届かない場所、例えば地下にあるとするなら、わざわざそんな素材で作る必要はないよな」
真司が感心したように言うと、美代奈が大きく口を膨らませた。どうやら、美代奈にとって一世一代の選択だったあの回答を、ただの勘だと思われていたことに腹を立てているらしい。
まあ、あのとき本当は結構心配していたのだが、今はそれどころではない半分、気恥ずかしさ半分であえてスルーしておく。
「だけど、これだけじゃ決定打にはならないよな。何か明確なヒントはないのか」
ぴのきおの言葉に何かヒントは無かったかと、真司はそのときの記憶を手繰り寄せる。
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