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彼も私の事が好きだったんだ。これって両想いってやつ?
沙江はぎゅっと目を閉じて、思わず「バレンタイン、最高!」と呟いた。
嬉しさがキュッと凝縮して、一気に溢れた。その瞬間、開いていたウィンドウに触れてしまった。三角のカーソルは「すてる」の位置で点滅していた。
「あっ!」
沙江が手に持っていたチョコは、いつの間にか消えていた。あのずっと煩かったウィンドウも、もう出てこない。
捨てちゃった――でも、もう必要ないのか。私はずっとずっと、彼の気持ちを確認したかったんだから。
そう思ったとたん、沙江はふわっとした浮遊感に包まれた。
――あれ? 私、いつのまにか青空を見てる。そういえば今日はすっごくいい天気だな。まるでプールの底から、キラキラ光る水面を見上げているみたい。
あ、そっか。
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