第一章 サクラ-1

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二、 高架線 駅に着くと、 すでに父が迎えに来てくれていた。 ロータリーに車を止め、 手を振る父は昔よりふくよかだ。 彼の後ろには白い軽自動車が太陽に照らされ輝いている。 車は子どもが巣立って老人二人だからと、 半年前に買い替えたばかりだった。 土曜日の昼間ということもあり、 駅近辺の道路は空いていた。 信号にもほとんどひっかからず、 車は滑るように目的地へと進んでいく。 窓を流れていく景色は、 以前来たときとあまり変わっていない。 唯一、 今、 止まっている信号の角にあったクリーニング屋がコンビニに変わったくらいだろうか。
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