第一章 サクラ-1

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ふと、 聞き慣れたメロディーがラジオから流れてきた。 昔、 好きだったバンドの曲で短いが、 歌詞がとてもきれいな曲だ。 「南北へ続く高架線」というフレーズが聴こえたき、 胸をしめつけるような懐かしい感覚が煙のように現れ全身を飲み込んでいった。 * ほんの少し前に 手に入れたような未来を 思い出と一緒に 丸めて投げ捨てた まだ先は長いよ 荷物はもういいよ I am dreaming of a girl rocked my world 南北へ続く高架線 この先にはきっとあるとささやいている (ELLEGARDEN『高架線』 作詞・作曲 TAKESHI HOSOMI)   * ハルの告白から一週間、 私たちは話をしていない。 クラスでも彼は露骨に私を避けていた。 私もどう自分の気持ちを整理して良いかわからず、 自分から彼に話しかけることはなかった。
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