第一章 サクラ-1

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自分の好きな人が別の人を好きだった、 というだけでもショックだが、 その相手が男性だったということも簡単には受け入れることができなかった。 生徒会が終わり、 私はいつもの場所でレモンティーを飲んでいた。 今日の会議も熱かった。 もう何も考えたくない。 誰にも話しかけられたくないから、 イヤホンをして曲を聴いていよう。 イヤホンは最近買ったばかりの日本製でとても音が良い。 低温までよく聴こえるところがお気に入りだ。 色も随分迷ったが、 水色にした。 ピンクも良かったな。 ランダムに様々なアーティストの曲が流れるなか、 聴いたことのない曲になった。 ゆったりとしたテンポで、 同じメロディーが繰り返されている。 歌詞は一番と二番で少し違うようだが、 男の子が遠い場所を見つめている光景が目に浮かんだ。 彼は夕焼けのなか一人で立っている。 サビの部分の歌詞「南北へ続く高架線」がこの曲ととても合っている気がした。 きっとこの高架線は彼の未来に繋がっているに違いない。 そう想像を膨らませていたとき、 突然、 後ろから肩をたたかれた。 驚いて振り返ると、 そこにはハルの想い人が立っていた。
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