第一章 サクラ-1

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最近、 両親が買ったという大きな液晶テレビの画面には、 ヨーロッパの街並みや美しい湖などが映し出され、 ゆるやかな音楽が流れている。 満腹感に加え、 豆太郎という温かい抱き枕のおかげで私の意識はゆっくりと薄れて行った。   目が覚めると、 私はソファーに横になっていた。 テレビはついたままだ。 豆太郎はソファーの下で横になっている。 台所には電気がついていて、 母が食器を拭いていた。 すぐわきのテーブルでは、 父がお茶を飲みながら新聞を読んでいた。 私は強烈な懐かしさと安心感、 そして孤独を感じた。
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