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私は意を決して、
周りに聞こえないよう出来る限り小さな声で告白した。
「…私、
キスできないと思う」
真紀子は一瞬、
驚いた表情をしたがすぐに口を閉じて難しい顔をした。
沈黙が辛い。
「それって、
好きじゃないってこと?」
そういうわけではない、
とすぐに返すことができなかった。
その間がすべてを語っているように思えた。
森村さんは素敵な人だ。
私に対してだけではないかもしれないが優しく、
メールの返信もマメだ。
そのうえ、
とても話しやすい。
しかし、
何かが違うのだ。
そう思う理由は彼にではなく私にあるのだと思う。
「今はまだいいけど、
煮え切らない態度をとり続けるのは向こうにも迷惑だよ」
真紀子はいつも率直にものを言う。
しかし、
今日の彼女の言葉は率直を通り越して辛辣だった。
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