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「私の好きな人は高校からの友達です。
でも、
全然気付いてもらえなくて。
他の人とも付き合ってみたけど、
やっぱり何か違うんです」
私は彼を見て言った。
森村さんは視線を外して、
私の手をじっと見つめている。
「よくわかるよ」
彼はもう片方の手を私の手にそっと重ねた。
*
昼休み。
私はパンを買いに購買に向かっていた。
普段は母が弁当を作ってくれるのだが、
今日は朝から町内会の旅行に行ってしまい、
弁当を用意する時間がなかったのだ。
購買はすでに人でいっぱいだった。
普段、
購買を利用することがあまりないため、
人の多さに戸惑う。
三学年分の生徒が一気に集まるのだから当然と言えば当然なのだが、
ここからどうやってパンを選べというのだろうか。
もっと早く来ていれば良かった。
この学校の購買は常設ではなく、
昼休みになると外部から業者が売りに来る形になっている。
おばさんが三人程いて玄関に並べられた机の上にパンや飲み物の入ったカゴをのせ、
時間になったら生徒が買いに来るという仕組みだ。
私は意を決して人の塊の中に飛び込んだ。
おばさんたちがいる机は遠い。
私は何とか前にいこうと人波を押して前に進もうとする。
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