プロローグ

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「自分でも驚いてる」 そう答えると、 ハルは少し笑ってくれた。 しばらく話して、 私たちは電話を切った。 カーテンを開けると澄んだ夜空が広がっていた。 明日は晴れるのだろうか。 上の方で細い月が光っている。 まるで爪切りした後の爪みたいに、 小さな月だ。 月は満月ほど強くはない、 細い細い光を必死に地上に届けていた。 私はハルに説教できるほどの人間ではない。 ハルほどではないにしろ、 彼への想いに縛られていないとは言い切れないのだから。 私ではハルの気持ちを変えることはできないかもしれないが、 私は自分を変えたかった。 高校時代からずっと抱えてきたもやもやとした気持ちをどうにかしたかったのだ。 この気持ちを恋と呼ぶのは、 気が引けるし少し照れくさい。 もっと違う何かかもしれない。 それを確認するためにも、 今回がラストチャンスだと思う。
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