第一章 サクラ-2

23/26
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/118ページ
携帯を見ると、 森村さんからメールが入っていた。 『ごめん、 少し遅れる。 先に注文しておいて!』 森村さんのメールは基本的に絵文字がない。 全くないわけではないが、 会社の同僚の男性と比べてみても極端に少ないのだ。 また、 驚いたことにいまだにガラケーを使っている。 本人いわく、 ガラケーでも何の不便もないらしい。 私はメニュー表を見て、 まず飲み物を注文することにした。 食事は森村さんが来た後で良いだろう。 そんなに時間はかからないはずだ。 メニュー表にはコーヒー、 エスプレッソ、 カフェオレなどの定番以外にゆずティーやハーブティーといった女性向けの紅茶もあった。 もちろん普通の紅茶もある。 食事のメニューもサンドイッチ以外にプレート料理があるらしく、 豊富だ。 ついさっきもう一人来てから注文すると言った手前、 少し恥ずかしかったが、 私はホットコービーを頼んだ。 店員の女性は何も聞かずに注文を受けてくれた。 良いお店である。 窓の外を見ると、 駅前のパン屋が目に入った。 パン屋は小さな箱型の店構えで、 入口側に大きなガラス窓がある。 そこからは店の中にある様々なパンをのぞくことができた。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!